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茅野市/I様邸/家族構成:3人

 茅野市に建つこの木造平屋のお宅は、オーナーのIさんにとって「家づくりの集大成」と胸を張れる出来栄えだと言う。これまでに建てた二軒にもそれぞれ思い入れはあるが、自分の理想とする暮らしの環境を実現したのは、いちばんシンプルでコンパクトなこの家だった。
 夫婦とご主人のお父様の三人暮らし。「父は90歳を超えた今も元気です。これからも心安く長生きしてもらうため、そして私たち自身も老後を気持ちよく過ごせる家にしたかった」とIさんは話す。ポイントは、健やかで安全安心に暮らせる家。そして、省エネであること。
 一日のうち半分を、人はわが家で過ごし、その比率は年齢を重ねるごとに増えていく。健康を維持するには、家の環境がよくないといけない。ならばその良し悪しは何で決まるのか。室内の空気の質に負うところが大きい。つまり、適度な温度と湿度、常に清浄な空気をどうやって保つかが課題となる。アプローチの仕方はさまざまあるが、研究熱心なIさんがたどり着いたのがWB工法だった。
 WBとはダブルのブレス、つまり空気と湿気の二つを呼吸するシステムのこと。夏の通気性と冬の断熱性を両立し、年間を通して透湿性に優れるという。ゆえに冷暖房は最小限で済み、基本的に電力を使わないシステムなので省エネだ。では、どこで施工するか。選んだのは本格和風を得意とする井坪工務店だった。

 シンプルと紹介したとおり、間取りはLDKとこれに続くお父様の居室、主寝室、座敷、ウォークイン・クローゼット、バス・トイレからなる必要にして最小限の構成。ただし、造作の確かさ、和の意匠の気品が随所に感じられる住まいだ。南面の犬走りの上には大きな庇が掛かっている。夏に日差しを遮り、冬の陽光を取り込む日本の民家の工夫だ。
「日本の気候風土にはやはり和風の家がいい。井坪さんは使う材がしっかりしているし、材を生かす技術がある。大工が外注でないことも安心できます。基礎が一体型なのもいいですね」とIさんは言う。もちろんWB工法の実績が県下で屈指であることも大きな要因だった。
 この家は檜づくりだ。構造材も建具も、玄関周りも座敷のつくりもそう。室内の空気がいいのは、もちろんご主人こだわりのWB工法の効果だが、ヒノキをふんだんに使ったことも貢献している。それにヒノキは色合いや質感も優美でいい。廊下は幅をたっぷりとり、足に優しく万一転んでも怪我をしないようにと畳敷きにしたが、ヒノキの腰板がこの空間を余計に柔和で思いやりに満ちた雰囲気にしている。
 浴室も檜づくりだ。「コストはユニットと変わらないし、浴槽は簡単に交換できます。土に返る素材だから環境にも優しい。何より体が温まります。費用対効果はかなり高いですよ」と話す。
 一方、トイレには匂いを分解する効果のあるスギ材を、押入れにはキリ材を使用。LDKの天井は米マツの柾目材で、これがモダンな印象を与えている。適材適所も、やはり日本の木の家づくりの伝統だ。
 ところで、お父様の居室がリビングと続き間なのは、いつでも家族と会話できるようにするためだとか。居室とバス・トイレが近いなど、お父様の生活動線に配慮し、もちろん家の中はすべてバリアフリーだ。住まいの空気の質は、工法や使う材、職人の仕事によってもたらされるが、同様に家族同士の思いやりも家の空気を気持ちよくするのだと思う。

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このページに記載されている記事本文、写真等は「住まいNET信州」VOL.11より転載しています。
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