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代表ブログ

原点を感じて
2020.10.23

皆さんこんにちは、社長の井坪です。
肌寒くなり、作業着も冬バージョンに。
春先に配布した新型作業着を多くの社員さんが着ています。
新型作業着はライダースジャケットのようなデザインで少しタイト!
なかなかカッコいいです。ポケットの位置も機能性より、デザイン重視なのかな?
まだ慣れない上着に戸惑う私です。


さて皆様はいかがお過ごしでしょうか。


ご縁を頂いて現在副校長を務めている『飯田高等職業訓練校』で、新型コロナウイルス感染症拡大防止のため中止になった『訓練生の技能コンクール大会』が開催されました。
私は、木造建築科部門の審査長ということで参加しましたが、当然そんな審査はしたことがなく、普段指導されている吉沢講師・森講師にチェックポイントを聞き明確な基準に基づいた減点方式の審査表を渡されました。
「項目が多いですね」と吉沢講師に尋ねると「ほとんど見た目で判断できるくらい(出来栄えは)違いますよ」と言われました。
「それでもな〜」と言っていると、講師陣から「寸法チェックや出来栄えは一緒に確認しますから」との言葉。
一気に審査の重圧から解かれ、安心して訓練生の『仕事』を見ることが出来ました。


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私を含めた、多くの弊社大工もここを卒業していますので、言わば原点の学校。
この学校に現在、弊社の社員近藤君(3年生)と松下君(2年生)が在籍しており、彼らの仕事ぶりや同年代の若者の仕事ぶりも見れるチャンスです。
少しワクワクしながら教壇横のパイプ椅子に座りました。
3年生と2年生は違う作品をつくるため審査は2部門。一番大きな教室が会場で3年も2年も同会場ということで私は助かりましたが、人が大勢集まれば騒がしさも倍増します。
不安や緊張を会話で和らげる彼ら...気持ちはよく理解できました。
ざわざわした室内も開始時間が迫ると、自然に静まり返り緊張感が漂います...。
道具を並べ材料や図面の位置を確認し、天を仰ぐ子や、呼吸を整える子。
OBでもある私の時代よりも、真剣な感じが伝わる彼らを見て『それぞれにベストを尽くせるといいな〜』と思いました。


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「それでは始めてください!」の掛け声とともに墨付けがスタート。手際良く進める子や、悩んでしまう子...スタートで差が出るもんだな〜と見ていると、弊社の松下君が、墨付けもせずに図面を眺めていました。大丈夫か?と思っていると、今度は材料を見て指差し確認のような動作。何かをイメージしている様子でした。
近藤君は、順調なスタートの様子で落ち着いています。ただ隣の子も凄い手際です!すると講師の先生が近づいてきて「あいつは練習ではいつも一番な、慌てんきゃいいけど...仕上がりだでな...」と言いました。それでもセンスの良さはわかるもので、大工2年目の子としては素晴らしい仕事ぶりでした。
心配した松下君を見ると、ムダな動きが一切なく墨付け終えなんと2年生で一番初めに刻みに入りました!
『なるほど...あいつは完成までのイメージをシュミレーションしていたんだな』という事に気づきました。


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真剣な彼らの仕事を見守ること約2時間が経過すると、3年生の近藤君の隣のいつも一番と言われた子が完成組み立ての段階に!そこで、なんと寸法間違いが起きてしまうのです...。なんとかリカバリーをして作品は審査室に。「心配したんだけどな〜もったいない!」「正確さがないと審査の土台にも入らんでな〜」と講師の先生の厳しい言葉。
『早ければいい』という価値観が、このモノを作る世界では許されない事を改めて感じる出来事でした。


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(同時開催となった配管部門の審査風景)
それから完成品が続々と、審査室に運ばれてきました。番号表記で誰が作ったのかわからないようになっており、感情的には落ち着いて見ることが出来ました。
講師の先生と上位作品を絞り込み、そこから細かく審査。同時開催の配管部門同様に細かな減点方式の基準表をもとにした審査は結構シビアでした。
なんとか審査を終え、職員室にいると校長先生から「井坪さん!W受賞だに!近藤君と松下君が優勝な」と言われました。
彼らの社長であることから「有り難い事ですが、大丈夫ですか?」と言うと、校長・講師の先生共に「誰が見ったって一番良いんだでしょうがないら!」と嬉しい言葉。
「会社に帰ったら褒めてやってな」と言われました。


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学校での講評では、若き職人達に期待とエールを送り、彼らの表彰は少し離れた位置で見守らせて頂きました。
会社に帰ると彼らに「頑張ったな!おめでとう!」とやっと言えました。


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今回は微妙な立場の私でしたが、素晴らしい仕事をした弊社の若手を誇りに思えた事と共に、仕事で大切な原点を感じる事の出来た良い機会でした。感謝!