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一本の線から生まれる物語
2020.10. 9

皆さんこんにちは、社長の井坪です。
肌寒さを感じる雨の降る中、リニア移転で新築となるお客様の地鎮祭に行ってきました。
お客様は2回目の新築工事で、井坪工務店で30年前に家を建てていただいたオーナー様です。
「本日はおめでとうございます!」と声をかけると、奥様から「家を建てた際には、亡くなった会長さんには本当にお世話になって...」「今の家はどこも悪くなて...とっても気に入っているのに...壊すのが悲しい...」と言われました。
『新築する』という事は嬉しい事ばかりではないんだなと思うと共に、30年が経過しても『どこも悪くない!』と言われる先人たちの設計力や施工力を誇らしく思いました。


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「しっかりとした家を今回も作らせていただきます!」この建築屋としての当たり前の言葉が、重く感じた朝でした。


さて皆様はいかがお過ごしでしょうか。


毎朝、事務所の鍵やカーテンを開け、朝の体温を記入し、日めくりカレンダーをめくり、パソコンの電源を入れ準備を整える。これが私の毎日のルーティンです。
それから少し席を外すと、事務所にはいつも工務の上原くんが出社しております。
それから大工の若い衆が次々とやってきて、設計の棚田君がやってきます。
皆毎日ほぼ同じ時間に「おはようございます!」と元気な声が聞こえます。彼らにも決まったルーティンがありそうです。
同フロアーで働く棚田君は、リアルに働く姿を私が確認できる最初の社員さん。


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少し興味があったので、彼の朝のルーティンを観察してみました。
いつも持っている大きな図面が入る黒いバックを机の右側に置くと、ほうきと塵取りを手に掃除を始めました。
設計部各人の机周り、応接室と結構な広範囲で手際よく掃除を済ませると、最後に自分の机の足元を清掃していました。
席につくと体が温まったのか上着を脱ぎ、右側に置いた黒いバックから何かの資料を取り出して、じっくりと嬉しそうな顔で読んでいます。読み終えた資料を脇に置くと、それから少し考えて腕まくり...何かを考えているのか?今度は上を見たり腕を組んだりしています。
しばらくするとペンを持ち紙になにやら線を引き出しました...。どうやら今日は、設計業務で一番楽しいプラン作成のようでした。
これがおそらく彼の毎日のルーティン。


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家が出来るまでを逆回しすると、仕上げ工事⇒肉付け工事⇒骨組み工事⇒材料加工⇒工程作成⇒設計⇒『一本の線』という事になります。
彼が今日引いた線は、誰かの物語になる線。丁寧に行われているルーティンがコンディションを整えているのかどうかはわかりませんが、一本の線から生まれる物語の始まりを見れたようで嬉しくなりました。感謝!