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代表ブログ

寄り添って生きる
2016.9. 2

皆さんこんにちは、社長の井坪です。
朝晩涼しい日も続き秋の気配を感じる今日此頃。


皆様はいかがお過ごしでしょうか。


大型台風による甚大な被害が報道を通じて伝えられています。
普通の暮らし・普通の毎日がどんなに幸せな事なのかを改めて考えさせられました。
私達の暮らす飯田市は四方を山脈に囲まれた海なき地域です。
自然災害が無いわけではないのですが、津波の心配はなく、台風からもこの山々が守ってくれています。
地震や土砂崩れその他の心配は当然ありますが、それは日本に暮らす限りかなり多くの地域でも起こりゆる可能性を抱えています。

誰もが猛威も恵みも含めて《自然と共に暮らしている》という事実です。

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私は、家づくりを生業とさせて頂いています。
この家づくりは《家族(そこに住まう人)の暮らしを長く守る頑丈な巣づくり》です。
つまりどんな厳しい環境からも、そこに住む人を長く守らなければなりません。
ただの物体を守る保管庫のようなものなら、シェルターのような家が理想です。
しかしそこに暮らすのは生きた人間です。その暮らしは快適でなくてはなりません。
ただ頑丈なシェルターの様な箱では、健康な生活することは困難になります。
だから家は太陽の光や爽やかに吹く風を取り入れた自然に寄り添った設計が必要になります。
技術の進歩した現代では、自然を活かすのではなく、制御し制圧するような傲慢な考えも多い感じがしています。
私達の暮らしは自然の中にあるのですから、自然と寄り添い暮らして行ける知恵がとても大切なんだと思います。


私が大工になりたての頃、手元が狂い玄能で柱を傷つけてしまった事がありました。
若く知恵のない私は、すぐにカンナでその凹みを補修しようとしました。
すると先輩大工が『おい!ちょっと待て』と言って、水の染みた布を木のキズにあててくれました。『これで少し待ってろ』と言われましたので、小一時間違う仕事をしてから傷をつけてしまった木を見ました。すると木が膨らんで大きな凹みが無くなっていました。『いきなり削っちゃ駄目!材木が細くなっちまうぞ』と笑っている先輩...木材の力と職人の知恵を感じる出来事でした。


大工職人は自然素材を扱う仕事です。高い技術を磨く事はもちろん重要ですが、素材を活かす知恵を学び活かす事も大切です。
間違って使うと素晴らしい素材も良さを発揮しませんし、猛威になってしまうことも...
つまり素材の恵みを活かすには、それを理解し寄り添う事なんだと思います。


これって人も木も自然も一緒だと思いませんか?
日常を振り返り、自身を取り巻く全てが普通に存在しているようで普通でないことに感謝して、その恵みや脅威と寄り添いながら生きて行けたらと思います。


だらだらと書いた長文を読んでくださった皆様に感謝します!