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兵法書と大工道
2015.10.16

皆さんこんにちは、社長の井坪です。
10月中旬になり、長野県では温かい地方とされる南信州でも寒さを感じる季節がやって来ました。
生活ではコタツやストーブ・料理では鍋などと人と人との距離が近くなる季節。
冬には冬の良さがありますね。
ただし寒くなると体調を崩すリスクも高まりますので体調管理(自己管理)は心掛けたいですね。
皆様はいかがお過ごしでしょうか。


最近、宮本武蔵著:五輪書(兵法書)に触れる機会がありました。
解説によると1643年に2年の歳月をかけて書かれた書物で、五輪すなわち地・水・火・風・空になぞらえて五部に分けて、兵法の奥義が述べられています。
宮本武蔵は、江戸初期の剣豪として有名ですが、私の知識では巌流島で佐々木小次郎に勝った2刀流の剣士で生涯無敗とここまでで、それ以上の事は知りませんでした。

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この【五輪書】熟読と言うほどではございませんが、兵法を大工道に例えて説明している部分があり、色々と考えさせられました。


武蔵は武士のリーダーを、大工の棟梁に例えて、その心構えを次のように述べています。
棟梁は、曲尺(かねじゃく)を使います。曲尺は道理であり、物差であり、物事を運営する基準とも言えます。棟梁は建物の寸法を憶え、設計図を知り、人々を使って建物を建てます。
武士のリーダーは大工の棟梁と同じです。道理を弁え、国の道理を正し、その武家の道理を知らなければなりません。大工の棟梁は、どんな材木をどんな部分に使うのか『木配り』と、大工それぞれの持つ技術によって十分に能力を発揮できる仕事を与え使い分ける『人配り』に長けていなければなりません。つまり、リーダーは【適材適所】を常に考えなければならないと説いています。

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次に、リーダーに仕える武士の心構えを、大工に例えて武蔵が強調しているのが、徹底的な『基本動作の修練』です。大工は自分の道具を研ぎ、必要な道具を作り、棟梁の言うことを聞いて、柱・梁などを手斧で削り、床や棚はカンナで削ります。時には透かし細工や堀細工をすることもあります。
正確に細かいところまで美しく仕上げるのが大工の仕事となり、これらを追求し続ける事が棟梁の道に繋がることになります。


大工は仕事が曲がらないこと、留めを合わせること、カンナでよく削ること、後々まで歪みや狂いが出ない建物を建てる事が大事となります。
やたら見かけに拘らないことが大切。見栄えや形だけを考えるのではなく、直ぐには評価してもらえない基礎動作、地道な仕事こそ徹底的に磨き抜く時代を大切にしなければなりません。これは、一流の野球選手が『キャッチボールが基礎』だと言うのと同じ事。
地道な【基礎動作】を身近な職場で営々と続ける。それが何より自分を大きくするための基盤作りと説いています。


遡ること372年もの昔、ひとりの剣豪が書いたこの兵法書から学ぶものの奥深さに感銘しました。
いつの時代も大切なモノ...原点は変わらないという事でしょうか。
部下や上司の役割や仕事の責任。現代の私達にも通じる大切な仕事の流儀を考えさせられました。